MおよびA領域限局の早期胃癌症列に対し、術前深達度診断を十分に行い、深達度mの症例に対しては所属第1群リンパ節にNo7リンパ節郭清を加えた迷走神経肝枝、深腔枝温存手術(以下温存手術)を施行する。深達度smの症例に対しては従来通りのD2リンパ節郭清を加えた胃切除術(以下非温存手術)を施行する。平成5年度までの温存手術例は15例であった。平成5年度は非温存手術例において術前および術後の胆嚢収縮運動を下記の方法にて観察した。クリニミールを経口投与し、ECHOを用いて胆嚢容積を近似測定法(ELLIPSOID法、BIPLANE法、SINGLE PLANE法)にて測定し、経時的な収縮率を求めた。また、同時に血清Cholecystokinin(以下CCK)値の経時的変化を測定した。術前症例は3例、術後症例は2列にて測定を行った。測定は10分毎に120分まで行った。症例数が少ないため統計学的解析は行っていないが下記の結果が得られた。術前の胆嚢縮率は50分で最大となり平均は約40%であった。術後の胆嚢収縮率は30分で最大となり平均は約40%であった。術前のCCK値は、クリニミール経口投与後40分で投与前の約60%に低下した。術後のCCK値は2例ともクリニミール経口投与前において7.5pg/ml以下であったため、比較検討しえなかった。本年度は非温存手術例に加えて温存手術例において同上の検討を行う。さらに温存手術例と非温存手術例において術前、術後の胆嚢収縮率および血清CCKの変動をもとに術後早期の胆嚢運動機能を比較検討し、ならびに術後胆嚢炎、胆嚢結石症発生の有無を比較検討する予定である。
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