我々は同種異系心移植における新生時期免疫寛容導入によるラット心移植を世界で初めて証明した。つまり新生児期にドナー心筋細胞を胸腺内に注入する事で、ドナー心筋細胞を自己と認識し免疫寛容状態となり移植心を拒絶しない。さらに、新生児期に胸腺内に注入されたラットが成長したのち約11週後に屠殺し胸腺内にドナー心筋細胞の生存を証明した。新生児免疫寛容ならびにドナー細胞胸腺内注入方を応用して、免疫抑制剤を全く使用しないでラット同種異系心移植を施行した。本年度は長期グラフト(移植心)生着日数を主に研究をおこなった。ラット約100匹をもちいて以下のごとく3群に分けて生着日数を比較した。 上図の様に新生児免疫寛容群では免疫抑制剤を投与せずとも移植心の300日以上の長期生存を認め、心移植における免疫寛容法の導入に成功した。これらの成果を第2回世界小児心臓移植学会において発表した。さらにはThe journal of Heart and Lung transplantationに投稿した。今後さらに本方法を用いて同種心移植の免疫機構の解明に着手するとともにさらに異種心移植に着手する。
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