1)昨年度はミトコンドリアをロ-ダミン123染色にて確認してきた。しかしこの物質はミトコンドリアと物理的に結合するため、障害されたミトコンドリアでは結合が弱くなり、その結果ミトコンドリア数が低く見積もられる欠点があった。このため我々はミトコンドリアの外膜に存在する特異的な蛋白質であるBc1-2に注目して検討した。抗Bc1-2抗体を一次抗体とする蛍光免疫染色像を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。その結果Bc1-2はミトコンドリアのみならず核膜にも存在することが明らかとなった。またエチジウムブロマイド処理により染色されるミトコンドリアが減少した。 2)T98Gヒトグリオーマ細胞よりミトコンドリアを分離し、これをエチジウムブロマイド処理によりミトコンドリアが減少したT98Gの培養液中に混和した。その結果ロ-ダミン123の蛍光強度の増加とBc1-2染色強度の増加が認められた。このことより分離されたミトコンドリアが細胞内に移行することが明らかとなった。しかしT98G由来のミトコンドリアをU251およびA173細胞に処理しても染色強度は増加しなかった。 3)クロラムフェニコール耐性CAP23の入手が困難であり、ミトコンドリア移入によるグリオーマ細胞の形質転換実験は行うことができなかった。
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