本脳波解析法は、平成5年9月29日付特許許可を受けた(特許第1790545号) 1.意識水準の客観的評価 意識の定義は困難であるが、共通する体験として覚醒から睡眠に至る過程がある。即ちだれしも意識の変動を日常のごとく体験している。まず、健常人を被検者として自覚している意識水準と、“高周波脳波ゆらぎ解析"結果との対比を検討した。眠気を自覚していない覚醒状態においては、S1パラメーターのトポグラフィーでは、全例で前頭部優位のパターンが得られ、これまで報告されている。健常成人における大脳皮質脳血流の分布とよく一致した。一方、眠気を自覚している状態では、この大脳皮質高次機能を反映するS1パラメーターのトポグラフィー表示で、前頭部優位のパターンは消失し、皮質下機能を反映する。S2パラメーターは低下した。さらに、入眠すると(睡眠段階1)S1パラメーターの前頭部優位のパターンの消失のみならず、S2はゼロレベルに低下した。 2.痴呆の電気生理学的評価 痴呆症例を検討したところ、共通することは、眠気を全く自覚していないにもかかわらず、健常成人における上の結果とは異なり、眠気を自覚しているいる時と同様、S1パラメーターのトポグラフィーにおいて正常な前頭部優位のパターンは認められなかった。また、前痴呆症例以外では、S2パラメーターの低下を認めた。即ち、痴呆症例の“高周波脳波ゆらぎ解析"結果は、眠気を全く自覚していないにもかかわらず、健常成人の眠気を自覚している時と極めて類似した結果となった。この結果から、痴呆発症のメカニズムとして、前痴呆症例に認められる、前頭前野の機能低下に始まり、皮質下覚醒系における機能低下がひき続き起こってくると推測された。
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