研究概要 |
1.頚椎に関する解剖学的研究:本学医学部打医第2解剖学教室所有の日本人頚椎晒骨標本を用い、頚椎の形態に関する研究を行い、これまで報告のなかった頚椎椎弓根の各椎骨における短径、椎弓根軸の方向などの平均値が明らかにし頚椎用内固定具作成の基本資料とした。 2.頚椎の動態に関する生体力学的研究:健常人ならびに頚椎に不安定椎間を有する患者を対象に連続X線撮影を行った。その結果、頚椎の前後屈運動には位相差があり、正常頚椎では、前屈運動は上位椎間から始まり下位椎間に及ぶこと、不安定椎間の前屈運動は他の椎間に先駆けて始まることが判明した。 3.頚椎用内固定具の開発とその学力的実験:解剖学的研究に基づいて決定したスクリュー径(3.5mm,4.0mm,4.5mm)、サイズの頚椎用椎弓根スクリュー固定システムを開発し、その強度試験を行い、臨床使用の可能であることを示した。 4.頚椎用内固定具ならび関する臨床的研究:開発した経椎弓根スクリュー固定器具を臨床応用した。その結果、大部分の日本人頚椎において安全な椎弓根スクリュー固定の可能なことが実証された。また、チタン製であることにより、手術後のMRI検査に対応できることが確認できた。頚椎椎弓根スクリュー固定を対象疾患として頚椎損傷、転移性頚椎腫瘍などの後方固定などに用い、同法は頚椎にも安全に施行でき、多くの頚椎疾患の再建に有用であることを示した。 5.頚椎用人工椎体の開発:頚椎用人工椎体の設計開発を行った。材料として決定したAW-Glass Ceramic製の胸椎・腰椎用人工椎体使用例の長期経過観察を行い、その安全性を確認し頚椎への臨床応用が可能であることを確認した。 【まとめ】頚椎用人工内固定具と人工椎体の開発ならびに関連する解剖学的・生体力学的研究を行った。臨床応用可能な内固定具の作成が実現し、臨床応用の結果も良好であった。
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