人工関節用ハイドロキシアパタイト(HA)コーティングチタン合金の問題点は剪断力下でのコーティング層の剥離である。これを克服するため従来の母材チタンの表面粗さ1.4μm(A)のものを5.2μm(B)にしてHAコーティング層と母材チタンの嵌合力を増強させ、この部位での破断を防止する試みを行った。結果は、犬大腿骨でのpush-outテストでは(A)と(B)の骨との固定着に有意差はなく、かつ(B)でもpush-out后の観察では破断はコーティング層と母材チタンの界面で起っていた。以上よりHAコーティングチタン合金の人工関節への応用にあたっては表面が多孔質なチタンにHAを目詰まりせずにコーティングする技術の開発が重要であることが示唆された。
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