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1994 年度 実績報告書

氷温技術を応用した複合組織保存に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05807134
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

大根田 豊  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (70160570)

研究分担者 福居 顕宏  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90145847)
玉井 進  奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10075088)
キーワード冷却保存 / 氷温 / 切断肢 / 複合組織
研究概要

氷温技術を切断肢指再接着、複合組織移植などの医療分野への応用を検討する目的で、氷温(-1℃)保存および4℃保存で切断肢の保存移植実験を行なった。その結果移植1週間後の生着率は、72時間保存において4℃保存より氷温保存の方が優れ、統計学的にも有意差を認めた(p<0.05)。さらに同様の実験群について循環動態の評価を行なうために、体外循環潅流実験を行い、保存切断肢の血管抵抗値とnorepinephrineに対する血管平滑筋の収縮力について検討した。その結果、血管抵抗値は、48、72時間保存で4℃保存より氷温保存の方が有意に高値を示し、低温障害が増強していることが示唆された。しかし、norepinephrineに対する反応は72時間保存で氷温保存の方が有意に高く(p<0.05)、血管平滑筋機能に関しては氷温保存の方が優れていた。本実験結果から、冷却保存による血管抵抗の増加が問題点として出現してきたため、さらに追加実験としてCa拮抗剤を用いた同様の潅流実験を行なった。その結果、Ca拮抗剤の投与によって冷却保存切断肢の血管抵抗の増加は有意に改善され、冷却保存による低温障害の一つの治療法として有効であることが判明した。
体外循環潅流実験については、第36回日本手の外科学会および第20回日本マイクロサージャリー学会にて発表し、その内容は日本手の外科学会誌(1993年10巻1号)掲載された。また、Ca拮抗剤を用いた潅流実験については、第12回日本骨関節軟部組織移植研究会および第9回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表し、その内容は日本マイクロサージャリー学会誌(1994年7巻3号)に掲載された。複合組織の保存法として氷温(-1℃)保存の方が従来の4℃保存に比べて生着率の向上がみられ、組織学的にも優れ、さらに循環動態の面からも血管平滑機能がより長時間保存されていることが判明した。また、冷却保存による低温障害として血管抵抗の増加がみられたが、その解決策としてCa拮抗剤が有用であることも追加実験から示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 小野浩史: "保存切断肢の血管抵抗値による評価" 日本手の外科学会誌. 10. 108-112 (1993)

  • [文献書誌] 中河庸治: "複合組織保存におけるCa拮抗剤の効果" 日本マイクロサージャリー学会誌. 7. 155-162 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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