ウサギをpentobarbital全身投与で麻酔し、仰臥位で保定した後、ターニケットを用い後肢の虚血-再環流実験モデルを作成した。後肢はバリカンおよび除毛クリームを用いて脱毛を行い、下腿前面皮膚に水素クリアランス電極と酸素分圧測定用電極を設置した。下腿の前脛骨コンパートメントにミラーカテーテルを挿入し、コンパートメント内圧を測定した。ウサギは2時間虚血群、4時間虚血群、6時間虚血群、および対照群に分け、それぞれターニケットにより2時間、4時間、6時間駆血、無駆血を行った。駆血前、再潅流直後、再潅流15分、30分、1時間、2時間後に水素クリアランス血流計により皮膚の血流を測定した。同時に、組織内酸素分圧連続測定装置により皮膚の酸素分圧を測定し、前脛骨コンパートメント内圧も連続測定した。 結果:1)虚血、再潅流後の下腿血流変化。ターニケットによる駆血後、皮膚血流は0となった。2時間虚血群では、再潅流後血流は増加し駆血解除後15分から30分で最高値となり、その値は駆血前より高い値を示した。4時間虚血群では再潅流後皮膚血流の回復を認めたが、最高値は2時間群に比べて低く、遅れる傾向を示した。6時間虚血群では再潅流後に血流の再開を認めないNo reflow phenomenonを示すものが約半数に出現した。2)虚血、再潅流後の下腿皮膚酸素分圧変化。駆血前には下腿皮膚の酸素分圧は平均80mmHgであったが、駆血後酸素分圧は低下し、再潅流とともに再び増加した。3)虚血、再潅流後のコンパート内圧変化。駆血前、前脛骨コンパート内圧は平均15mmHgであったが、2時間虚血により再潅流後30mmHgまで増加した。この増加は再潅流後約2時間接続した。4時間虚血群では内圧増加は2時間虚血群より高く、遷延する傾向を示した。
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