研究概要 |
臨床病期stageB以下の早期前立腺癌のため根治的全摘術を行い、5mm間隔の階段切片法による病理検索を受けた症例数は現在50症例を数え、検討対象として十分な症例数を得ることができた。腫瘍の存在部位の3次元的関係の把握と共に、腫瘍体積と病理学的病期、局所進展との関係など詳細な情報を得ることができた。主癌病巣を核出して得られた21例の腫瘍組織より抽出したDNAをもとにp53,ras(H-,N-,K-)gene,NF1の各遺伝子変異をSSCP法ならびにdirect sequencing法を用いて検討した。p53ではexon5,exon8に2例(9。5%)の点突然変異を認めたが、rasではcodon12,13,61の部位において突然変異などの異常は認められなかった。NF1にもやはり異常を認めなかった。またこのp53の変異と腫瘍の病期との間には明らかな関係はなかった。さらにhepatocyte growth factor receptorであるc-met遺伝子にも着目し、cDNAを作成して同遺伝子のoverexpressionの機序とされる translocationの有無を検索したが、何らの異常も見いだせなかった。TGF-beta抗体を用いて腫瘍部の免疫組織染色を多数例で種々の条件を用いて試みたが、現在のところ陽性例を得ていない。市販の抗体では前立腺癌の免疫組織染色には限界があるものと思われる。 DNAploidy分析に関しては、CAS200image analyzerを用いて分析を開始した。
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