今年度は最重症の排卵障害のひとつである早発卵巣不全(POF)39症例のPOF症例について、病型分類、免疫学的特徴、骨量および脂質代謝の評価を行い、行うべき管理について検討し、以下の結果を得た。 1.病型分類:既往歴から、(1)特発性POF(16例、原因の不明なもの);(2)手術関連POF(8例、既往に卵巣に対する卵巣摘出以外の手術操作を受けたもの);(3)去勢POF(15例、既往に両側卵巣摘出あるいは下腹部の放射線照射を受けたもの)の三型に分類された。 2.免疫学的検討:特発性POFで67%、手術関連POFで37.5%に抗核抗体あるいはLACが認められ、また、特発性POF群においてT cell分画が増加し、ヘルパーT cell分画が減少していたことから、特発性POF症例の免疫異常との関連が強く示唆された。 3.骨塩量:第2-4腰椎の骨塩量は、1例を除いて平均値を下回り、1SD以下が64%、2SD以下が16%と全般に低値をとっていた。 4.脂質代謝:血清総コレステロール値は、200mg/dl以上の症例が47%で、高い傾向にあった。HDLコレステロールは27%が40mg/dl以下の低値をとり、LDLは50%が140mg/dl以上の高値をとっていた。 以上のことから、POF症例においては骨量低下および高脂血症を認めることが多く、これらの管理も重要と考えられた。また、特発性POFにおいては自己免疫疾患の検索が必要と考えられた。
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