〈目的〉近年、早産と絨毛羊膜炎の関連が注目されている。感染を引き起こすと子宮筋収縮が増大するが、その機序の詳細は解明されていない。我々は、妊娠17日目(早産期)のラット腹腔にEndotoxin(ET)を投与し、炎症モデルを作成した。3時間後に子宮を摘出し、その縦走筋標本で、IP_3産生および細胞内Ca^<2+>動態の測定を行う。〈成績〉1.自然収縮およびOxytocin(OXT)投与後のIP_3産生量[Basal、OXT]は、それぞれCont.群[4.4±0.8、7.1±0.6]、ET.群[7.0±1.2、13.1±2.0](pmol/mg wet tissue、mean±SE、n=12)であり、両群ともOXT投与後の産生量は有意に増加した。両群間の比較検討ではET.群はCont.群に比して自然収縮時より増加の傾向を呈し、OXTを投与するとIP_3産生量は有意に増加した。2.(1)Ca^<2+>存在下(2.5mM)では子宮収縮と共に340/380比の上昇が認められたが、Ca^<2+>free下では、収縮を認めるものの、その340/380比の変化はなかった。(2)Ca^<2+>存在下では子宮収縮と共に子宮筋束に一致し、輝度の上昇が認められたが、Ca^<2+>free下では、収縮を認めるものの、その輝度の変化はなかった。(3)ET投与妊娠子宮筋にて、Ca^<2+>存在下ではOXTの投与により、子宮収縮と共に340/380比の上昇が認められた。〈結論〉1.OXT刺激により、IP_3の上昇を認めたが、Ca^<2+>free下では、細胞内Ca^<2+>の上昇が認められないため、Ca^<2+>非依存性収縮の機序の存在が示唆された。2.ETはIP_3産生を有意に亢進させOXTによる子宮収縮の感受性を上昇させる。さらに収縮に伴って細胞内Ca^<2+>の上昇が観察されたが、現在コントロールとの両者間の比較検討を行っているところである。
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