研究概要 |
HOX4Bに特異性の高い抗体を作成するために、N末端側のアミノ酸をコードする領域を発現ベクター(pIH888)に組込んだ組み替えプラスミド(pIH4Bc)を作製した。pIH4Bc組み換えプラスミドによって大腸菌で産生されるHOX4B融合蛋白をプレパラテイブ・アクリルアミドゲル電気泳動で分離して回収した。この抗原をcomplete Freund's adjuvantに混ぜ、3週間おきに家兎に免疫し、全採血を行なった。HOX4B融合蛋白-セファロース4BアフィニティーカラムとMBPアフィニティーカラムを通して、抗体を精製した。免疫組織化学染色には主にこの抗HOX4Bポリクローナル抗体を用いた。13日齢マウスのホモジネートをサンプルとしてSDS-PAGEを行い、ニトロセルロース膜に転写して、上記の抗HOX4B抗体を反応させてDABで発色させた。その結果、HOX4BのcDNAから予測されるアミノ酸の分子量28,000と一致する28 KDaのバンドが確認された(抗体の特異性の確認)。ヒトとマウスのHOX4Bはアミノ酸配列が96%一致するので、この抗ヒトHOX4B抗体はマウスのHOX4Bとも反応すると予測される。そこで11日,13日,15日,17日令のマウス胎児のパラフィン包埋標本を作成し、矢状面と横断面のパラフィン切片を抗HOX4B抗体で免疫染色を行なった。(a)骨形成に関しては、骨化部に近接した軟骨細胞が染色された。(b)皮膚形成に関しては、胚芽細胞よりも上の周皮(epidermis)細胞が染色された。特に、プログラム細胞死の領域として知られている手足の水かき部分が染ったのが注目された。(c)腎臓では、主に髄質が染色された。赤芽球系白血病細胞HEL細胞に動物細胞発現ベクターに組込んだHOX4A遺伝子を導入して過剰発現させたとこ、フィブロネクチン・レセプター)が高発現して細胞-細胞外基質の接着性が著しく高まった。
|