現在日常臨床で用いられている発声機能検査法は、音声の基本周波数、強さ、呼気流率を同時に測定し、一次元的に数値を読み判定する方法が用いられている。私はAudiogramのように、音声の基本周波数、強さ、呼気流率を自由に選択して、各々のデータを2次元的に表示し一目で評価ができる検査方法を開発してきた。これをPHONOGRAMと命名し、改良を加えてきた。本研究では、従来の検査法は検者が被検者に対して種々条件を与えて発声させる方法をとっていたが、本研究ではこれを根本的に改良して、被検者がパーソナルコンピュータの画面を見ながら自由に高い声、低い声、大きな声、小さな声とを発声するだけで、検査を終了できるようにした。実際の検査時間は3-5分と従来より大幅に短縮した。さらにPHONOGRAM SK92のコンピュータプログラムを改良して、短時間にすべての結果をA4検査用紙にプリントアウトできるようにした。これをPHONOGRAM SK93と命名した。その内容は1)高さ-強さ2)高さ-呼気流率 3)強さ-呼気流率 4)基本周波数にたいする平均呼気流率とその標準偏差 5)強さに対する平均呼気流率とその標準偏差 6)高さに対する発声時最小呼気流率 7)強さに対する発声時最小呼気流率の表示である。この完成品を使って演題名〓新しい音声検査法〓として世界耳鼻咽喉科学会(トルコ:イスタンブール)でビデオを用いて報告した。また、発声障害者のデータは我々の教室には1000例以上蓄積されている。現在このデータをPHONOGRAM SK93を用いて分析している。
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