1。前年度の研究に継続して、平衡訓練の対象を良性発作性頭位眩暈(BPPV)以外の片側末梢前庭障害(前庭神経炎、突発性難聴、ハント症候群、内耳外傷、その他)に適応を拡大して訓練を実施した。 2。平衡訓練を実施した群と薬物療法群の二群に分け治療効果を前回と同様の方法で評価した結果、平衡訓練群に良好な改善が得られた。 3。疾患別(BPPVとその他)に平衡訓練の効果を比較すると、自他覚症状の改善度やその効果発現時期に差がみられた。さらに単一の疾患においても、誘発性のめまいか、自発性のめまいかで平衡訓練の効果は異なる傾向が有った。従って訓練法や訓練期間を決定する要因として、疾患別に分けるより発症時のめまいの性状や体平衡障害の程度が重要と考えられた。 4。体平衡機能の向上を目的にバランスボードによる平衡訓練を施行した。訓練効果の評価を簡便にするためボード辺縁が接地しないで立位を維持できる時間(非接地時間)を計測できるように工夫した。訓練は開閉眼で1分間ボード上に直立後、1分間の休憩をはさみ5回施行した。 5。バランスボードによる訓練では、多くの例で3回目までは効果がみられたが4、5回目には疲労がみられた。
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