研究概要 |
ρ-クリスタリン(RHO)のクローニングと蛋白質の発現系を確立し、発現RHO蛋白質の蛋白質化学的及び酵素化学的性質の解析を目標とし、当該年度においてその目的は予定どおり達成された。 1.RHOのクローニングの完了:カエル水晶体より常法によりmRNAよりcDNAを調製し、1-1.5KbpのcDNA画分をλzapベクターを用いてcDNAライブラリーとした。2つのプライマー(GAGAGATCTCTGAGGGATGTTGGA及びATGGGGAAGGTGCTACTCATGACT)を合成しPCRにて675bpのプローブを調製してからcDNAライブラリーより全長をコードするcDNAをスクリーニングした。陽性のクローンを単離しサブクローニングの後、開始コドンATGから975bpの翻訳領域を含む全長1203bpの塩基配列を決定した。 2.大腸菌からのRHO蛋白質の発現系の確立:pUC18のβ-galactosidaseの開始コドンATGにRHOの翻訳領域を連結した発現ベクターを調製し、大腸菌HB101を形質転換してRHOのN末端アミノ酸Thrより始まる完全な蛋白質の発現に成功した。 3.発現RHOの酵素活性の欠落の確認:大腸菌HB101より発現したRHOのN末端アミノ酸はフリーで存在しているのでカエル水晶体RHOのII型(RHO-II)に相当することが判明した。発現RHOの精製は水晶体RHOと基本的に同じであり、Red-Sepharose,Sephadex G-100並びにDEAE-Toyopear,hydroxyappatide,Octyl Sepharoseクロマトにより電気泳動上単一に精製した。この発現RHOの酵素活性は水晶体RHOと同様検出できなかった。よってRHOはもともと酵素活性が欠落しているアルド・ケト還元酵素型蛋白質であると確認した。現在プロスタグランジンF合成酵素とのキメラを調製しその酵素学的な検討を行っています。
|