研究概要 |
当初に計画した調査検討の対象となるさまざまなミオパチー症例、網脈絡膜変性症例および視神経症症例の臨床所見およびDNA試料を蓄積することができた。また、点突然変異のスクリーニングとしてSSCP(single strand conformation polymorphism)による検索方法を確立することができた。筋緊張性ジストロフィの遺伝子異常(CTG-repeat延長)については、PCRおよびサザンブロツトで検索することが可能になつた。 定型的ミトコンドリア異常症(KSS,MELAS,MERRF,レーベル病)では、特異的なmtDNAの異常が高率に検出された。MELASの臨床所見を示さない糖尿病症例1例にMELAS(mtDNA/np3243)の点突然変異が検出された。このことは、ミトコドリア異常症のあらたな側面として、検討する価値がある。両眼性視神経症の症例については、これまでに検索してきたmtDNA/np11778およびnp3460点突然変異に加えて、np15257点突然変異を検索した。調べた症例ではnp15257点突然変異は検出されなかつた。網脈絡膜変性を示す症例では、ロドプシンおよびペリフェリンの遺伝子異常検索とともに、網膜色素変性を伴うミトコンドリア異常症(neurogenic ataxis and reti-nitis pigmentosa)に検出されるmtDNA/mp8993点突然変異を検索したが、これまでのところ陽性の症例はない。mtDNAに特異的な異常が検出されない症例については、SSCPによる検索開始した。また、筋緊張性ジストロフィの遺伝子異常(CTG-repeat延長)は、定型的症例に高率に認められた。これまでにえられた解析試料からは、CTG-rpeatの延長程度と眼科的所見の発現との相関は不明である。
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