研究課題/領域番号 |
05807187
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
舘村 卓 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60188266)
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研究分担者 |
原 久永 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
佐藤 耕一 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
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キーワード | スピーチエイド / 口蓋帆挙筋 / 口腔内圧 / 鼻腔気流量 / 口蓋裂 / 鼻咽腔閉鎖不全症 / バルブ削除療法 / 発音機能 |
研究概要 |
1.目的・方法 平成5年度の研究の結果、スピーチエイド装着時に鼻腔に呼気が漏出することによって口蓋帆挙筋活動が上昇することが明らかとなった。この時の口蓋帆挙筋活動は、口腔内圧と鼻腔気流量の両方を説明変数とする重相関関係にあり、重回帰分析の結果、鼻腔気流量の関与が口腔内圧の関与よりも強いことが明らかとなった。また、平成5年度に実験用として用いたスピーチエイドのバルブ中央部穿孔部は直径4mm〜7mmの円であり、この断面積の範囲内であれば、鼻腔共鳴を生せず鼻咽腔を通じて確実に呼気が鼻腔に漏出することが示された。そこで、平成6年度には、面積に換算して直径4mm〜7mmの円と等価であるようにバルブ周囲を削除した口蓋帆挙筋活動賦活用スピーチエイド(Red-SA)を5名に用いて鼻咽腔閉鎖機能賦活効果について検討した。削減プログラムとして、削減部分の水平面投影像における面積の変化が円面積に換算して直径4mm〜7mmの円と等価になるように削除量を決定し、1ケ月に1度バルブの側面を前後方向に削除し、3ケ月間3回にわたって同量ずつ削除した。鼻咽腔閉鎖機能の判定は鼻咽腔内視鏡ならびに聴覚的判定によって行った。 2.結果 鼻咽腔閉鎖運動の内視鏡所見は、削除直後においては一過性に削除部分から呼気が鼻腔に漏出する所見を示したものの、5名中4名において、1ケ月経過後において閉鎖性子音ならびにblowingにおいて完全閉鎖が得られ、聴覚判定の結果においても鼻雑音は認められなくなり、この傾向は3回の削除療法各回において認めた。一方、1名においては、2ケ月間の削除療法において良好な結果を得たが、3回目の削除後1ケ月経過時には所見の変化は得られなかった。これらの結果は、平成5年度の研究結果に従った削除療法は、症例毎に効果の認められる期間が相異する可能性があるものの、鼻咽腔閉鎖機能の賦活に奏効することを示している。また、鼻咽腔閉鎖機能の程度と賦活効果の発現状態との関係についても今後検討する課題であることが示唆された。
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