研究概要 |
顎矯正手術を施行する場合、術前において術後顔貌予測をより正確に行う必要がある。従来、私たちはこの目的のために側方セファロによるペ-パーサージュリー,ビデオサージュリー,顎顔面歯列模型によるモデルサージェリーを施行してきた。しかし顔貌の輪郭ならびにオトガイ部の位置に関しては、ほぼ予測が可能となってきたが、口唇及びにその周囲における微妙な予測が不可能であった。 そこでこの点を明確にする目的でまず正常咬合者における硬組織・軟組織移動率を求めた。 本年度は以上の結果を基準として実際の顎変形症患者の正中央状面上における術後顔貌予測を試みた。その方法はまず患者の顎・顔面歯列模型を作製する。その模型をカンペル平面に平行で口角を通る線でモデルサージュリーを行う。モデルサージュリー前後の顎・顔面歯列模型の顔面を非接触型三次元曲面形状計測装置を用いて、三次元座標データーとして計測した。移動量をより正確に算出するために、移動前後の顔貌のデーターの非移動部を三次元的に重ね合わせたのち、正中央状面上の各ポイントの移動量を計測した。口裂からオトガイ部までに求めた任意の計測ポイント(13点)の垂直的、水平的(フランクフルト平面に対する)移動距離を実測した。 それぞれの計測された移動量が、それぞれの軟組織下の硬組織移動量となるため、前回に求められた硬組織・軟組織移動率に従って軟組織の移動量を測定する。それぞれ求められた計測されたポイントを連続することで術後顔貌予測を求める一方法を確立した。 しかし現在のところこの作業は手作業であること、また硬組織の移動範囲を垂直的に4mm水平的に7mmに限られていることから今後も本研究を継続しより正確な術後顔貌予測を追求していきたいと考えている。
|