研究概要 |
我々は、細胞内dNIPプールの不均衡時にDNA二本鎖切断を起こす酵素を見い出し、細胞のlysateからDFAE-agarose,OM-agarose、phosphocellulose、heparin-agarose、cibacron blue F3GA-agaroseおよびゲル濾過カラムクロマトグラフィーを行い、この酵素を精製することに成功した。精製した酵素の分子量は約40kDa、至適pHは6.0であり、二価金属イオンは要求せずEDTA存在化で強いDNA二本鎖切断活性を示し、複製型ファージDNAをランダムに切断した。この酵素は従来知られているエンドヌクレアーゼ(Ca^〓,Mg^〓依存性)とは異なる全く新しいエンドヌクレアーゼである。現在このエンドヌクレアーゼのアミノ酸配列を決定する実験を行なっている。本酵素のN-末端はブロックされている事がわかったので、限定分解を行ない部分アミノ酸配列の決定を行なっている。この情報よりcDNAのクローニングを行なう予定である。一方、プロテインキナーゼCの阻害剤であるH-7によりDNA二本鎖切断及びそれに伴う細胞死が抑制される事、およびdNTPプールの不均衡を誘導すると核内癌遺伝子c-myc,c-fos及びc-junのmRNAレベルが上昇する事を明らかにし、さらにc-fosおよびc-junのmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを作用させることにより細胞死が抑制される事より細胞内シグナル伝達系が細胞死の分子機構の一端を担っている事が明かとなった。
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