研究課題/領域番号 |
05807206
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
綿矢 有佑 岡山大学, 薬学部, 助教授 (90127598)
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研究分担者 |
根岸 和雄 岡山大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70116490)
早津 彦哉 岡山大学, 薬学部, 教授 (10012593)
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キーワード | 細胞死 / エンドヌクレアーゼ / DNA損傷 / DNA二本切断 / アポトーシス / 5-フルオロデオキシウリジン / dNTPプール / 不均衡 |
研究概要 |
哺乳動物細胞内デオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)プールに不均衡を生じさせることにより、DNAの二本鎖を切断するendonucleaseの誘導とDNAの断片化、及びそれに伴う細胞死(dNTP Imbalance Death)が引き起こされることを観察した。この分子機構を解明するため、細胞死の直接の原因であると考えられるDNA二本鎖切断酵素を精製し、その性質を調べた。マウス乳癌由来FM3A細胞に5-fluorodeoxyuridine(FUdR)を作用させ細胞内dNTPプールに不均衡を誘導した。この細胞を集め超音波破砕した後、超遠心して上清をcell lysateとした。このcell lysateからDNA二本鎖 切断酵素を精製した。精製した酵素について、DNAを含むSDS-PAGEにより活性を検出した結果、分子量は約40kDaであった。また二価金属イオンを要求せず、至適pHは約6であった。この酵素はZn^<2+>によりその活性が阻害され、さらにZn^<2+>は細胞レベルでもdNTP Imbalace Deathを抑制した。一方、FUdRを作用させることにより細胞の核内にendonucleaseを誘導させた後にその核を抽出しincubationしたところ、EDTAの存在下で180bpというヌクレオソーム単位のDNA断片を生じた。この断片化はCa^<2+>、Mg^<2+>によって促進されず、むしろ抑制された。また、精製したDNA二本鎖切断酵素を単離した核に作用させると、dNTP Imbalance Death時と同様のladder状のDNA断片が検出された。さらに、これらのDNA断片の5'末端はリン酸基であることが分かった。このendonucleaseは、いわゆるapoptosisに関係する新しいDNA二本鎖切断酵素であると思われる。
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