本研究は、子どもの消費者技能の発達を年齢を追って縦断的に明らかにすることを目的としている。今年度は、縦断研究の最初の年齢である幼稚園児とその親を対象とした調査を実施した。対象者は北海道函館市立幼稚園の3〜5歳児70名とその親である。調査方法は、幼稚園児は聞き取り調査、親は留め置きによる自記式質問紙法を用いた。その結果、子どもの消費者技能と家族要因の影響について次のことが明らかになった。 1.3歳児では、お金の種類やお金の概念はまだ発達していないが、5歳児ではお金の概念やお金でできることをほぼ理解している。また、5歳児ではクレジットカードの機能も理解できることがわかった。 2.テレビコマーシャルを例にとった広告の理解は、5歳児でもまだテレビの番組とコマーシャルの区別はつかず、広告の概念の理解はない。しかし、数名の5歳児で理解している子どもがあり、これは親とのコミュニュケーションの影響と思われる。 3.幼稚園児の段階ではテレビよりもデパートやスーパーでの市場での視覚的で直接的な経験が消費者としての欲求に結びついている。 4.幼稚園児の段階ではほとんどこづかいはなく、消費行動は親の影響下にあり、使うことよりも貯めることのしつけがなされている。また、幼稚園児の金銭意識の発達には家族の話の内容や頻度が大きな影響をもつことがわかった。
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