本研究は、子どもの消費者技能の発達を年齢を追って発達段階別に縦断調査によって明らかにすることを目的としている。今年度の計画は、昨年度(平成6年度)に縦断調査の最初の年齢として設定した対象者である幼稚園児の追跡調査とその分析であった。 今年度の調査は次の通り実施した。調査対象者は、北海道函館市立幼稚園の3〜5歳児68名とその親である。このうち追跡調査の対象者は4〜5歳児51名とその親であるが、45組の追跡ができた。さらに、対象者の拡大と今後の追跡を考慮して北海道教育大学附属函館幼稚園の3〜5歳児89名とその親を今年度に追加した。調査方法は、幼稚園児は聞き取り調査、親は留め置きによる自記式質問紙法を用いた。調査項目は、昨年度と同じ内容で、子どもにはお金に対する認識、お金の概念、お金の使い方、CMの認知・影響、買い物行動などを消費者機能の指標として聞き、また、親には金銭のしつけ、おねだり対応、家庭での金銭に関する会話、子どもの消費者としての学習機会の提供、消費者知識などを親の消費者態度として聞き、子どもの消費者技能の発達への影響を測った。調査時期は、平成7年12月〜平成8年1月で、昨年とほぼ同時期に設定した。 現在までの分析では、昨年度の知見を追認することができ、これまでに実施した横断調査の結果とほぼ一致している。今年度の追跡調査と調査対象者の拡大で明らかになったことは、同年齢でも昨年度と今年度の対象者の消費者技能の発達の程度の違いがあること、同年齢間の発達の差が昨年度より大きいことである。この原因を認知発達と家庭要因の影響から分析中である。また、昨年度5歳児で小学校1年生になった対象者についても事例的に追跡調査を実施している。
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