合成洗剤問題に関連する一般市民向け書籍の内容について、肝臓障害、発ガン性、催奇形性、皮膚障害、急性毒性、慢性毒性の6点についての記述内容を調査した。対象書籍は「洗剤」、「洗濯」、「石鹸」等のタイトルを含むものとした。その結果、東京、横浜の大手書店で情報を得ようとした場合に、肝臓障害:92%、発ガン性:87%、催奇形性:92%、皮膚障害:86%、急性毒性:81%、慢性毒性:82%の確率で、その有害性を消費者に訴えるものに出会うことがわかった。また、その影響は一般の「環境」関連著書の記述内容にも及んでいる。 次に、朝日、毎日、読売の3紙の新聞記事を調査した結果、記述内容が3種に分かれ、初期には合成洗剤の人体への危険説、中期には琵琶湖周辺を代表とする環境問題に視点をおいた合成洗剤有害論、後期には合成洗剤追放運動の衰退を表す内容が多くなっていることがわかった。人体への安全性問題に関しては、問題を追求するのみで、問題解決がはかられた後の消費者への情報伝達ができていないことが明らかになった。 また、合成洗剤問題を概観できる年表を作成し、一般消費者へ向けたコンピュータネットワーク型データにまとめた。その過程において、一般市民向けの書籍には合成洗剤追放派にとって不利になると考えられる記述がことごとく除去されており、市民が客観的なデータを得るために資料として用いるのにきわめて不適であることが明らかになった。
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