本年度は、在宅要介護高齢者のための通所施設として各種のデイサービス施設を取り上げた。デイサービスは在宅福祉の三本柱の一つであり、ゴールドプランでも中学校区に一施設を整備目標とするなど注目されている。本研究では、静岡県内で現在機能している各種のデイサービスについて、施設概要と利用者や家族の利用状況等の実態を明らかにすることによって、今後のデイサービス施設の計画に示唆を与えようとするものである。 調査の対象は、まず施設については、静岡県下の国庫補助によるデイサービスB、C、D型(計51施設)と痴呆性齢者を主対象とするE型(8施設)、そして、県の単独施策である高齢者介護ホーム(29施設)である。回答は施設管理者に依頼した。利用者調査は、いずれも痴呆性高齢者を主対象とするE型と高齢者介護ホームの利用者であり回答は家庭における主たる介護者に依頼した。回収数は、施設計72、利用者計246である。調査は郵送によってい、1993年11月に実施した。 施設概要に関して、B、C、D型とE型、介護ホームという3種の施設間で差違の大きい項目は、所在する市町村や周辺環境、併設施設、そして建物概要と規模といったハードな側面である。大まかに、デイサービス施設は市部の農村地域にあり、特別養護老人ホーム等に併設されている。これに対して、介護ホームは郡部の市街地、住宅地に所在し、単独施設が多く、既存の建物の転用が多い。この他、利用者の属性(性別、年齢、疾病、日常生活自立能力等)と家庭における主たる介護者の属性(性別、続柄、職業、健康状態、今後の介護継続意志等)を明らかにした。結果的に、利用によって利用者の身体状況等が好転した者の占める割合は、E型より介護ホームおいて高い。以上の結果より、デイサービス施設の立地条件の重要性が浮き彫りにされたと考えられる。
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