本研究1年度(平成5年度)には、語感の顕在化CAI教材の作成過程で、特に2つの問題が明らかになった。 (1)学習効果が期待できるようなビデオ映像の撮影と編集、またビデオ映像とコンピュータ上に制作する画像の統合が難しかった。 (2)市販のグラフィック・ソフトでは色を使って演示まではできるのだが、シミュレーションが極めて困難である一方、マッキントッシュ装備されたハイパーカードでは、シミュレーションまで可能なのだか、色が使えないという難点があり、色は未使用で教材化を進めざるを得なかった。 語感の顕在化においては、原則的に実現性を確認するだけでは不十分で、その質的な完成度が教育効果に決定的な意味を持つ。したがって、教材モジュールの数を制限しても、一つ一つの完成度を高めることを優先する必要があると思われる。そこで、平成6年度はビデオ映像とコンピュータ上に制作する画像の統合が容易にでき、シミュレーションのプログラミングと色使用が可能なオブジェクト・オーサリング・ツール・ソフトの「オ-サウェア」を使用して、専門家の援助も得つつ、すべての教材項目を作りなおした。その中で、「副詞『もう』の語感」と『あげる』と『くれる』の語感」は、教育効果の観点から現場使用にある程度耐えられるレベルに達した。
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