最先端科学技術が要求するコンピュータ処理能力は巨大なり、システムは益々複雑化し巨大化し、専用のハードウェア化が望まれる。これらのシステムには、頭脳の神経細胞ネットワークにおける自律分散再構成機構構想が要求される。本研究の目的は、人間の脳構造の分散・協調を基本とする自律的再構成能力からヒントを得てウェーハ規模超集積コンピュータの自律再構成アーキテクチャを構築することである。 平成5年度の研究結果より超並列コンピュータとして、格子結合型、ハイパーキューブ結合型、巡回型キューブ結合型マルチプロセッサシステムについて自律再構成法の検討を行なった。その結果、格子結合型マルチプロセッサシステムに関して、自律再構成方式が適用でき従来のグローバル欠陥情報を用いた再構成法にほぼ一致する高い再構成確率が得られることが分かった。そこで、格子結合型マルチプロセッサシステムを超並列コンピュータの再構成アーキテクチャとして採用し、階層型冗長構成格子結合型マルチプロセッサシステムの自律再構成方式について研究を行った。その結果、階層構造冗長アーキテクチャは従来の非階層冗長アーキテクチャよりかなり高いシステム構成率を得られることがわっかた。また、階層型ア-テキテクチャの採用によりランダムフォルトのみならずクラスタフォルトに対する自律再構成が可能であることを明かにした。これらの研究成果をもとに、多数のウェーハをスタック状に結合した3次元WSI技術による超並列コンピュータの実現可能性について詳細に検討することが今後の課題である。
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