近年情報処理技術の進歩とともにデータベースの利用が増え、文献の探索やデータの整理、活用など様々なデータ処理に利用されている。一方コンピュータグラフィックスやCAD/CAMなどコンピュータを用いた図形処理、特に形状モデリングなど3次元形状処理の応用範囲が広がっている。従来の形状モデルの研究・開発は、機械形状やある特定の形状に対してその形状モデルを生成し、それから加工情報を取り出したりするだけのいわば閉じた世界であった。 これらの話をまとめると、インテリジェントなインターフェースを持つ3次元形状のデータベースの実現が望まれる。それも単にデータを羅列してファイル化するのではなく、人間にとって利用しやすいインターフェースを持ち、形状に対する記述だけでなく、形状の評価・解析・比較・検索・分類・ソートなどを総合的に扱えるようにすべきである。 今回の研究では、中核となる3次元形状処理システムの構築を行った。一つは任意形状を表現できるソリッドモデリングシステムの開発であり、これは任意の3次元形状の生成、和・差・積の集合演算、隠線消去、濃淡表示などができるもので、形状を多面体で近似表現する。もう一つは、曲面形状を表現する自由曲面生成処理システムであり、メッシュ状の曲面形状を生成することができる。これは形状を統一的表現で表し、フーリェ変換などで特徴量をとらえる方法を想定したためである。高機能インターフェースを実現する一つの手法は、形状の大域的特徴と局所的特徴を同時にとらえることである。今後の研究では、どのようなデータ構造が望ましく、どのようなインターフェースが必要かを明らかにする。
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