平成5年度は、燃料供給によって維持される軸対称プラズマの定常平衡に関して、粒子連続の式、径方向及び方位角方向の運動方程式を自己無撞着に解くことによって以下の点を明らかにした。 (1)磁場配位を形成しているのは古典的粒子拡散によるブートストラップ電流と高エネルギー・ビーム電流であり、プラズマ中の異常拡散は寄与していない。 (2)種電流が存在しないと磁場反転配位は得られず、拡散線型ピンチ配位が形成されるだけである。 さらに、以上の系を磁場反転配位中D-^3He定常燃焼プラズマの平衡に適用することによって以下の知見を得た。 (1)核融合反応による高エネルギー陽子が種電流の役目をして、その電流とブートストラップ電流とによって磁場反転配位が形成されている。 (2)燃料粒子をプラズマ周辺に多く中心に少なく注入すると、ブートストラップ電流がプラズマ中心で少なく周辺で多くなり、その結果高beta値(〜90%)を持つ磁場反転配位が得られた。 以上の結果は、当初計画した「D-^3He核燃焼プラズマでの反応生成高エネルギー荷電粒子の配位中への選択的捕獲による電流分布を考慮した磁場反転配位の平衡」は達成されたと考えられる。現在までは、燃料供給の空間分布は与えられたものとして解析を行ったが、得られた平衡配位に対して実際の燃料供給方法を検討する必要がある。また、定常燃焼に至るまでは外部からの高エネルギー粒子の注入が必要となる。これらのことを得られた平衡配位と自己無撞着に解析することによって、「外部注入を考慮し、かつまたプラズマの慣性効果を考慮にいれたプラズマの回転・平衡」が得られると考えられる。
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