研究概要 |
平成6年度は、定常燃焼磁場反転配位プラズマから損失する荷電粒子の運動エネルギーからの直接エネルギー変換(DEC:Direct Energy Converter)の研究を遂行した。これは、前年度に明らかにした「燃料供給によって維持される軸対称プラズマの定常平衡」を基礎にして、閉じ込め配位から損失する熱化プラズマ及びD-^3He核融合反応生成荷電粒子の空間分布とエネルギー分布を求め、それらの直接エネルギー変換の方法を解析したものである。D-^3He核融合では、損失プラズマが比較的低エネルギー(≦200keV)の熱化プラズマと15MeVの高エネルギー陽子とから構成されているために従来の静電的直接エネルギー変換の方法は適用できない。そこで、低エネルギー熱化イオンのエネルギー回収の方法としてカスプ型直接エネルギー変換器(Cusp DEC)、15MeV陽子のエネルギー回収として進行波型直接エネルギー変換器(TWDEC:Traveling Wave DEC)を新たに提案しそれらの解析を行った。Cusp DECは、二重カスプ磁場配位を有し、前段のカスプ配位で電子をイオンから分離する。後段カスプ配位の磁場の強さ及びコイル半径を調節することによって低エネルギー・イオンを後段カスプ配位に導き、静電型DECでそれらのエネルギーを回収する。電子及び低エネルギー・イオンの軌道計算によって電子の99%以上は前段カスプに捕獲され、熱化イオンの内陽子、重水素、三重水素の90%以上、^3He,^4Heイオンの50%以上は後段カスプ配位に捕獲されることが明らかにされた。これらの残りは、Cusp DECを通過するが、それらは数百Vの静電場で反射され再びCusp DECに捕獲される。15MeV陽子はその高エネルギーのためにCusp DECの磁場ではその軌道は影響されずにそこを通過する。それらは、通過後TWDECに入る。TWDECは変調器と減速器で構成され、陽子ビームは変調器で速度変調を受け下流で空間的に収束する。収束した陽子ビームはビーム中に置かれたグリッド・メッシュに電流を誘起し、陽子ビーム自身は減速する。このようなTWDEC中での陽子ビームの振舞い及び電流誘起の機構を粒子シミュレーションと電気回路方程式によって自己無撞着に明らかにした。
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