ショウジョウバエ胚細胞より紫外線照射DNAに特異的に結合する2種の蛋白因子(因子1及び因子2)を同定した。これらの蛋白因子の活性を決定したところ、いずれも光回復酵素活性を持っている事が解った。さらに、因子2はピリミヂンダイマーを光回復する活性をもっており、従来大腸菌や酵母でよく知られているphotolyase活性を、因子1は(6-4)光産物を光回復する今まで知られていなかった新しい光回復酵素活性を持つことを明らかにした。 前者については、ショウジョウバエから遺伝子を単離をし以下の結果を得た。1)母性効果遺伝子として雌ovaryで大量発現し、卵に蓄えられており、卵発生の大切な時期に紫外線の脅威からの防御に働いていると考えられる。2)作用スペクトルは440nmを示し、deazafulavinを補酵素として持っているとかんがえられる。3)ショウジョウバエの遺伝子をもとに、有袋類であるオポッサムよりホモログをクローンしアミノ酸配列を予想したところ、単細胞生物のそれとは大きく異なっており、多細胞生物型を形成している事が解った。 後者については、(6-4)光産物光回復酵素を精製する事に成功し、それが損傷を正常な形に戻すphotolyase活性を持つ事を明らかにした。
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