大気中の二酸化炭素濃度が急増しており、その主要な発生源での二酸化炭素ガス除去技術の確立が、人類の直面する緊急課題の一つになっている。本研究は、温帯や熱帯の陸水圏に広く分布する多様な淡水性微細藻類を利用して、人為的発生源から放出される二酸化炭素ガスの固定化技術を確立する上で必要となる基礎的知見を集積することを目的として、特に淡水性微細藻類の二酸化炭素ガス固定能とそれに及ぼす各種の環境因子の影響を調べ、工業的利用の面を考慮した品種検定を行なった。また生成したバイオマスを原料として水素ガス生成へリンクさせる可能性を探り、その生成条件の検討を行うことによって、化石燃料の代替となる高性能藻株(高CO_2固定・高水素ガス産生藻株)を利用したクリーンなエネルギー源を開発する方向を模索した。 1.炭酸ガス濃度の高い田面水や淡水湖沼の表層水を試水として、炭素源を含まぬ培地で通気集積培養を行った後、分離した微細藻類株約40株をフィリピンから分譲を受け、以下の主な実験試料とした。 2.高CO_2濃度下での培養をCO_2インキュベータ-で行い、生育の良好な藻株をスクリーニングした。 3.好気および嫌気条件下での水素ガス発生をガスクロマトグラフにより定量した。 4.高CO_2固定能と高H_2生成能を持った藻株(高性能藻株)について、さらに温度・光量などの培養条件を詳しく調べた。また生育パターンを把握するため、増殖曲線を求めた。 5.クロロフィル量を定量し、藻体の現存量と水素ガス発生量の関係を調べた。 6.研究成果の取りまとめと発表を行なった。
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