細胞分裂期におけるミオシンリン酸化の役割に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05808066
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 細谷 浩史 広島大学, 理学部, 助教授 (90183102)
• キーワード: ミオシン / ミオシン軽鎮キナーゼ / Cell cycle / ウニ卵 / リン酸化 / ミオシン調節軽鎖 / 細胞分裂

研究概要

ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)は、細胞分裂において収縮環収縮の引き金として機能していると考えられている。本研究では、細胞分裂機構の解明を目的としてMLCKに着目し、ウニ卵を材料に様々な検討を行った。その結果(1)バフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus)卵可溶性分画にMLCK活性を存在すること、(2)その活性は受精卵に比べ、未受精卵であることが明らかとなった。引き続きホスホペプチドマッピング法を用い解析を行い、(1)受精後50-60分後に、ミオシン軽鎖のリン脂質依存性キナーゼ(Cキナーゼ)によるリン酸化サイト(Cキナーゼサイト)をリン酸化する活性がピークとなること、(2)同時期にMLCKによるリン酸化サイト(MLCKサイト)をリン酸化する活性が低下することを明らかにした。さらに、卵可溶性分画中のMLCK活性を解析することを目的として、未受精卵可溶性分画をSephacryl S-300によるゲルろ過で分画した。その結果、MLCK活性は2つのピークに分離して溶出され、一方はカルシウム/カルモジュリン依存性MLCK、他方はカルシウムモジュリン非依存性MLCKであることが明らかとなった。現在、この2つのキナーゼについてさらに解析を行っている。

研究成果

• [文献書誌] M.Kotani et al: "Evidence for direct binding of intracellularly distributed ganglioside GM2 to isolated vimentin intermediate filaments in normal and Tay-Sachs disease human fibroblasts." Cell Struc.Func.,. 19. 81-87 (1994)
• [文献書誌] H.Hosoya et al: "Phosphorylation of dynamin by cdc2 kinase." Biochem.Biophys.Res.Comm.,. 202. 1127-1133 (1994)
• [文献書誌] H.Hosoya et al: "Mechanism regulating cytokinesis: roles of myosin light chain kinase" Zool.Sci.,. 11. 507-510 (1994)
• [文献書誌] H.Hosoya et al: "Growth promoting activity for Tetrahymena in fetal bovine serum" Develop.Growth Differ.,. in press. (1995)
• [文献書誌] H.Hosoya et al: "Aposymibitotic strains of the green paramecium Paramecium bursar ia produced by exposure of the herbicide paraquat" Europ.J.Protist.in press. (1995)
• [文献書誌] 細谷浩史: "英和プラスチック大辞典(分担執筆)" 工業調査会, 1149 (1994)
• [文献書誌] 細谷浩史: "生体工学用語辞典(分担)" (財)日本規格協会, 1200 (1995)
• [文献書誌] 細谷浩史: "分子細胞生物学辞典(分担)" 東京化学同人(in press), (1995)
• [文献書誌] 細谷浩史: "ハンドブック生物学データ集(分担)" 朝倉書店(in press), (1995)
• [文献書誌] 細谷浩史: "生物化学基礎コース-情報の流れからみた生物科学-(分担)" 培風館, 207 (1995)