研究概要 |
血小板の産生機序,産生調節機序の遅れは,研究試料となる巨核球の不足によるところが多く,申請者は巨核球軽のin vitro分化モデル系の確立をMEG-01(亜株MEG-01s)細胞株を用いて検討してきた 平成5年度は,MEG-01(MEG-01s)細胞から遊離される血小板様粒子の産生量の増強を種々の分化誘導物質で試みた結果,DNA合成を阻害する物質が最もよい効果を示し,10〜50倍の増強を示した。平成6年度は遊離された粒子を分画し,性質と機能をしらべた。粒子分画中の生細胞含有率をMTT法で測定すると,それらの約50%が代謝活性をもつことが示されたが,血小板の生理活性を示すトロンビンによる形態変化,凝集活性は非常に低かった。しかし,フローサイトメター測定による血小板活性化マーカーp-selectin(GMP-140 or CD62)の発現率は20〜30%もあり,血小板機能の1つである血小板内顆粒からの放出活性と類似の機能が認められた。平成7年度はMEG-01(MEG-01s)細胞の粒子形成と粒子の遊離機構を調べた。MEG-01(MEG-01s)細胞を長期培養すると,ふくらみ部分と細いくぼみ部分から成る長い突起を形成する。これは巨核球のproplatalet類似の形態で,抗チュブリン抗体を用いた蛍光染色では,突起のふくらみ部分は血小板にみられる特有のリング状微小管の細胞骨格構造が観察された。粒子分画の中にproplatelet様突起の断片状のものも観察されることから,MEG-01(MEG-01s)細胞は成熟巨核球で観察されているproplatelet突起による血小板産生と類似の機構で粒子を形成し,遊離していることが示唆された。
|