研究課題/領域番号 |
05808078
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 光璋 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (40004618)
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研究分担者 |
水谷 好成 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (40183959)
中尾 光之 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (20172265)
渡辺 建彦 東北大学, 医学部, 教授 (70028356)
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キーワード | レム睡眠 / セロトニン / アセチルコリン / ニューロン活動 / 睡眠-覚醒 / ニューラルネットワーク / 1 / fゆらぎ |
研究概要 |
1.脳における調節系は、運動、感覚、連合、記憶機能等のほか、自律機能をも修飾している。中でもアミン系は、神経回路網を広領域にわたって全体的に安定化していると考えられている。しかしながら、その実体は明らかにされていない。これまでの我々の研究により、脳における諸機能の実行系単一ニューロン活動に見られる1/fゆらぎ現象の必要条件が、セロトニン系から脱抑制とコリン系による活性化にあるという作業仮説が立てられた。本研究の目的は、神経薬理および、ニューラルネットワークモデルを用いたシミュレーション研究により、この仮説を検証しようというものである。 2.レム睡眠の生起と維持には、アセチルコリンによる活性化が重要であると考えられている。以前、PCPAの投与によりセロトニンの合成を阻害したニューロン活動に1/fゆらぎが出現した状態で、アセチルコリン受容体のmuscarinic antagoistであるアトロピンを投与したところ、1/fゆらぎ現象が消失し白色ゆらぎに変化することを海馬ニューロンで見ている。そこで、本研究では、アセチルコリン受容体のnicotinic antagonistであるメカミラミンを投与し、自然のレム睡眠時に見られる1/fゆらぎがどのように変化するかを中脳網様体ニューロンで検討した。その結果、メカミラミンの投与により、レム睡眠の重要なインデックスであるPGO波の消失を見たが、ニューロン活動の1/fゆらぎには何らの変化もなかった。以上により、レム睡眠時の実行系ニューオン活動に見られる1/fゆらぎは、アセチルコリン受容体のmusucarinicな活性化が重要であると考えられるに至った。これは、本研究の大きな成果である。 3.計画した、外側膝状体単一ニューロン活動をin vivoで長時間記録しながら、そのニューロンの近傍にセロトニンを微量注入させる実験は、当初考えた方法では困難であることが判明した。そこで、microdialysis probeを用いて、セロトニンを拡散させる方法を試み成功しつつある。しかし、実験が本格化したところであり、現段階においては、系統的な結果が得られるに至っていない。 4.アセチルゴリン・ニューロン活動は、レム睡眠時に活性化しており、1/f様のダイナミクスを有していると考えられる。そこで、ニューラルネットワークを用いたモデルに於いて、相関のあるノイズを加えた場合の検討を行った。基本的には、相関のある無しにかかわらず、ネットワークを構成しているニューロンに1/fゆらぎが見られることが判明した。
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