研究概要 |
1.研究初年度に当たる平成5年は、課題推進の基礎となるサイズ可変型のケージの設計、制作から始めた。ケージは1辺が40cmの正方形のパネルを任意の枚数組み合わせて作るシステムで、ケージの各辺はアングル鋼で固定される。パネルとアングルおよびパネル同士の締結はコンクリート型枠クリップで行う。各パネルのアングルでできた枠は共通であるが、パネル面は金属格子、ステンレス板、透明アクリル板など任意の材質を用いることができ、実験の内容に応じた組み合わせを可能とした。体格の大きなオスニホンザルでも、このケージで安全に飼育できる。なお止まり木はパネル枠に開けられた穴にビス留めすることで壁面パネルの任意の位置に装着することができる。 2.このケージのサイズをいくつかの段階で変えてサルを飼育し、運動量や姿勢の違いを測定するためにビデオ録画を継続中である。また、床面積1,6m^2と0,3m^2の時の尿中カテコールアミン量を測定しているが、狭いケージではこの値が上昇する結果が予備的に得られている。 3.ケージ上に、サルが自分で操作しないと餌が出てこない索餌装置を取り付け、レバーを押して餌を出すことを訓練した後、採食に要する時間の変化を調べた。その結果、通常の餌箱で食べるときに比べて5〜8倍の時間延長効果が認められた。動物福祉の上で有効な方策になると考えられる。 4.2台のパネルケージを連結して通路をもうけ、2頭のサルが互いに行き来できるようにしたとき、それぞれの採食行動がどう変化するかの実験も遂行中である。これまでの所、単独飼育に比べて摂食速度が速まるデータが得られている。 次年度はこれらの例数を増やして結果を明らかにしたい。
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