研究概要 |
まずサル類における適正なケージサイズに関しては、この種が有する本来的な行動を制限しないという原則のもとに、二次元的・三次元的な必須要素を定量的に求め、モデル案の作製を行った。(7年度に公表予定)。また、ケージ内に設置する止まり木の有無によって、運動範囲がどのように変化するかを測定し、サル類の飼育でこのような附帯設備の持つ重要性を把握した。同居実験においては、親密度の高いメス同士の組み合わせでも、採食時だけは同居を避ける傾向があることを明確に見出した。動物福祉の観点からみると、同居飼育の内容には性格の異なるいくつかの要素が含まれることが明らかになり、これらを無視した機械的同居には問題があると云える。その他、索餌システムやパズル餌箱を導入して採食時間の延長を試み、飼育下環境を豊富にするため、エサの給与法にも大いに活用の途があることが明らかになった。また放飼場群において大規模遊具として回転輪を設置し、パソコンでその利用パターンを記録・解析した。これらの成績は6年度日本実験動物学会、日本霊長類学会、プリマ-テス研究会で報告し、一部は「霊長類研究」(10:95〜104,'94)に論文として発表した。
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