本研究の目的は、木星型惑星の形成過程を明らかにすることである。本研究では、京都モデルと呼ばれる惑星形成シナリオに立って、 (1)原始惑星をとりまく原始大気の安定性を調べ直し、 (2)安定性を失った後の大気構造の進化を追跡し、 (3)重力圏外からの星雲ガスの流入を動力学的に調べる ことによって、木星型惑星の基本的な性質である、遠距離惑星ほどガス成分比が小さいこと、最遠距離惑星である海王星も有為なガス成分を有していること、10〜16時間の自転周期をもっていることなどのルーツを明らかにすることである。 (1)については既に昨年度の研究によって明らかにされており、今年度は(2)、(3)について研究を行った。 (2)の不安定原始大気の進化については、吸収係数などの基本的な素過程のデータをあらい直し、数値シミュレーションによる進化追跡を行った結果、10^6〜10^7という短い時間内に原始大気が収縮し、星雲ガスを捕獲しうる状況に到ること、この性質は原始惑星の太陽からの距離にはほとんど依存しないことがあきらかになった。 (3)の星雲ガス捕獲過程に付いては、シミュレーションコードの開発は終了し、本格的な数値シミュレションを実行したが、その結果、原始惑星への星雲ガス流入の様子は数値計算手法に強く依存しており、今後十分な検討を要する。
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