研究概要 |
本研究の目的は,脱アミド反応がタンパク質の構造と機能に及ぼす影響をモデルタンパク質(赤血球膜のプロテイン4.1とアンキリン)を用いて検証することである.昨年度の成果を基に,本年度は下記の研究を行った. 1.赤血球の比重分画を行い,幼若赤血球,老化赤血球からそれぞれ4.1b-richあるいは,4.1a-richなプロテイン4.1を調製,プロテアーゼ消化断片ペプチドのHPLC分析により,4.1aと4.1bとで切断されやすい部位が異なること,即ち分子の立体構造に相違があることが判明した. 2.上記の構造上の相違は,4.1脱アミド部位(Asn502)の近傍にあることが,各ペプチドのアミノ酸配列分析から推定された. 3.アンキリンの限定分解ペプチドのアミノ酸配列分析から,N-末端ドメインの中に存在する多くのAsn-Gly配列中2番目と8番目のAsnがAsn→Aspの脱アミド反応を受けていると推定された.Asn-Ala配列の脱アミドは未同定である. 4.現在,変異アンキリンを作製中であり,mutantが得られたならば,band3,あるいはspectrinへの結合をwild typeのそれと比較・検討する予定である.
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