研究課題/領域番号 |
05834005
|
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
内木 宏延 福井医科大学, 医学部, 講師 (10227704)
|
研究分担者 |
中久木 和也 京都大学, 医学部, 教授 (90024629)
細野 正道 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (90107433)
|
キーワード | 老化制御 / SPF環境 / 老化促進モデルマウス(SAM) / 免疫機能 / マウス老化アミロイドーシス |
研究概要 |
1.緒言:最近の研究により、老化促進モデルマウス(SMA)に認められるマウス老化アミロイドーシス発症には、前駆蛋白質であるアポA-IIの分子型のみならず、他の遺伝、代謝、環境因子もまた重要であることが明らかとなった。今回我々は、SAMに認められる促進老化徴候発現、及びマウス老化アミロイドーシス発症に対し、細菌学的飼育環境の及ぼす影響について検討した。 2.方法・結果:(1)通常飼育、及びSPF飼育されたSAMPX(Apoa2c)の各々2〜11か月齢(各月齢雌雄各3〜4匹)を検索した。(2)加齢に伴う促進老化徴候発現は、通常飼育群に比べSPF飼育群で有無に抑制された。また雌に比べ雄で有意に高値を示した。(3)通常飼育群では、6か月齢で33%に軽微な消化管アミロイド沈着を、11か月齢では100%に肝脾を含む全身性アミロイド沈着を認めた。SPF飼育群においては、いずれの月齢でもアミロイド沈着は認められなかった。(4)体重、及び肝臓・腎臓・心臓重量は、SPF飼育群、及び雄で有意に高値を示した。(5)逆に脾臓重量は、SPF飼育群、及び雄で有意に低値を示した。 3.結語・考察:以上の結果より、促進老化徴候発現、及びマウス老化アミロイドーシス発症に対し、細菌学的飼育環境が重要な影響を及ぼしていることが明らかとなった。細菌学的飼育環境の違いは第一にマウスの免疫系に影響を及ぼすと考えられる。脾臓重量が通常飼育群に比べSPF飼育群で有意に低値を示した事は、SPF飼育群が免疫学的に"低刺激状態"におかれている事を示唆している。SPF飼育群と通常飼育群の免疫学的パラメーターを詳細に比較検討し、"細菌学的環境-免疫機能異常-促進老化徴候発現-マウス老化アミロイドーシス発症"連関を総合的に解析する事は、今後の重要な課題である。
|