研究概要 |
申請者らは、これまでに老化促進モデルマウス(SAM)の赤血球細胞について、加齢に伴う変化を調べて、細胞内の抗酸化性酵素活性が低下し、酸化タンパク質レベルが上昇することが老化のパラメータになることを明らかにした。また、二次元電気泳動法によってSAMの血清タンパク質像を調べたところ、「未知タンパク質Y(24.8kDa,pI6)」が加齢に伴って顕著に増加することを明らかにした。 本年度も昨年度に引き続き、老化促進型マウスの血清から加齢に伴って増加する「未知タンパク質Y」をイオン交換クロマト法、種々のアフィニティークロマト法により精製し、N末端のアミノ酸配列および種々の酵素により限定加水分解して得られたフラグメントのアミノ酸配列の決定を試みた結果、タンパク質Yは既知のタンパク質の一部分であることを明らかにした。全アミノ酸配列を調べようとしたが、SAMの血清から精製できるタンパク質量では全配列の決定には不十分であった。今後の実験計画の遂行のためには大量のタンパク質Yを遺伝子工学的手法により調製することが必要と考えられたので、現在取り組んでいる。タンパク質Yの遺伝子の決定ならびに大量のタンパク質Yを調製した後には、遺伝子レベルならびに免疫化学的手法を用いてタンパク質Yの検出が可能となる。今後は、本研究の最終目的である老化抑制食餌因子の検索にタンパク質Yをパラメータとして研究を進めていく予定である。
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