研究概要 |
骨芽細胞から産生・分泌される成長因子のうちautocrine/paracrine作用を発現する最も重要な因子はインスリン様成長因子(IGF-I)であるといわれている。これまでに私達は、donor ageに伴う骨芽細胞のIGF-I産生量の変動を調べた。その結果活性型ビタミンD_3(1,25(OH)_2D_3)によって石灰化を誘導した細胞では、DNAあたりのIGF-I産生量はdonor ageとともに、減少したが、未処理の細胞ではわずかに増加する傾向がみられた。IGF-Iの活性は、1,25(OH)_2D_3によって調節されているといわれているので、1,25(OH)_2D_3で10日間処理した後RNAを抽出して、1,25(OH)_2D_3レセプターのmRMAレベルを調べた。その結果、1,25(OH)_2D_3処理および未処理でそのレベルに著しい変化は見られず、またdonor ageでの顕著な変化も見られなかった。さらにIGF-Iの産生量は、mRNAレベルの変化を反映しているかをIGF-IのcDNAを調整して調べた。高齢者(88才)では、IGF-IのmRNAレベルが減少しており、若齢者の約1/2であった。またIGF-Iの作用機序から考えるにIGF-Iレセプターが存在するはずである。そこで、このレセプターのmRNAをノーザンブロットハイブリダイゼイション法で調べたが検出できなかった。cDNAプローブの調整に不備がないか、またはこの骨芽細胞はIGF-Iレセプターを実際に発現していないのかについて、今後再検討する予定である。
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