研究課題/領域番号 |
05834019
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
笠井 道之 (財)東京都老人総合研究所, 病態老化学研究系免疫病理部門, 研究員 (10194705)
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研究分担者 |
今野 愛子 (財)東京都老人総合研究所, 生理老化学研究系栄養学部門, 研究助手 (30260285)
白沢 卓二 (財)東京都老人総合研究所, 病態老化学研究系分子病理部門, 研究員 (80226323)
広川 勝いく (財)東京都老人総合研究所, 病態老化学研究系免疫病理部門, 部長 (00014093)
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キーワード | 胸腺 / 胸腺上皮細胞 / 胸腺Tリンパ球 / アポトーシス / 細胞周期 / TGF-beta |
研究概要 |
T細胞の増殖・分化に必須の胸腺は、生後早くからその能力が低下し始める。その能力低下は胸腺微小環境の細胞構成が変化するか、或は産生される因子が量的・質的に変化することが原因だと考えられる。 この能力低下をin vitroで解析する目的で、T細胞の増殖能力が低下し始める5週齢のC57BL/6マウス胸腺から主要構成細胞の上皮細胞株TEC103を樹立した。TEC103の培養上清は、ConA、Rat ConA sup及び抗CD3抗体で刺激した胸腺Tリンパ球の増殖を抑制し、無刺激で培養した胸腺Tリンパ球のアポトーシスを促進する効果も有していた。本年度はこの増殖抑制因子の同定に絞って研究を実施し、次の結果を得た。刺激後増殖中の胸腺Tリンパ球にTEC103培養上清を加えても、恒常的に増殖しているミエローマ細胞に加えても増殖抑制効果が認められ、増殖抑制効果は細胞周期を停止する効果であると考えられた。細胞周期を停止する効果を有するサイトカインであるTGF-betaに対する抗体と反応する分子量約14kDaの因子が、ウェスタンブロッティング法によりTEC103培養上清中に検出された。また、この抗体をTEC103培養上清に加えた場合、増殖抑制効果は中和された。さらに、ノザンブロッティング法により、TEC103の全RNA中にTGF-betaのmRNAを検出し、TEC103がTGF-betaを産生することを確認した。 以上のことからTEC103の培養上清中の増殖抑制の主因子はTGF-betaであると考えられた。TGF-betaの細胞周期の停止効果を考えると、胸腺Tリンパ球の成熟過程に於いては、TGF-betaは未熟胸腺Tリンパ球を生存・成熟させるのかあるいはアポトーシスさせるのかという選択段階で未成熟胸腺Tリンパ球の増殖を一旦停止させて次の過程への移行を促進する役割を果たしていると考えられる。また、胸腺の加齢に伴う萎縮に於いては、胸腺内に於けるTGF-beta産生量の加齢変化が胸腺の加齢に伴う萎縮に関与していると考察された。
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