研究概要 |
アミノ酸ラセミ化年代測定法は、放射性炭素法では測定ができない1000年以下や50000年以上の年代領域を測定可能にし、また極めて少量のサンプル量(10〜100mg)でも事足りるのが大きな特長である。しかしながら、サンプルの前処理に長時間を要し、また多段階の操作過程を経なければならないために、繰り返し精度が低下する傾向のみられるのが大きな欠点の一つとしてあげられる。15EA02:そこで我々は、アミノ酸のイオン交換精製などを省略することができれば、迅速化と精度の向上にも貢献するのではないかと考え、蛋白質加水分解後の直接誘導化について基礎的検討を行った。誘導体化試薬にエチルクロロフォルメートを用いると、アミノ酸のアミノ基とカルボキシル基はそれぞれ室温下、1分以内でエトキシカルボニルおよびエチルエステルに導かれる。(I.Abe,Anal.Sci.投稿中) 加水分解後の遊離アミノ酸を直接誘導体化し、クロロフォルムに溶解し水で数回洗浄の後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、その一部をガスクロマトグラフへ注入すると、鮮明なクロマトグラムが得られた。用いたカラムは、光学活性固定相としてOctakis(3-O-heptafluorobutyryl-2,6-di-O-methyl)-gamma-cyclodextrinをコーティングしたキャピラリーカラムである。これにより、アスパラギン酸のD,L体は完全分離できた。なお、繰り返し分析における再現性については現在検討中である。
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