日本古代の近畿以西、西日本における考古地磁気の測定結果について再検討を行うのが本研究の課題であった。さらに考古学の手法によって行ってきた型式編年資料から得られた年代とのクロスチェックは、今回の研究で実施した重要な作業のひとつである。 これらの前提に従って過去に測定され公表された地磁気測定が、どのような状況で行われたのかを検討した。すでに得られているデータを収集して現状でのデータベースを作成しフロッピデスクに入力した。さらに同時に出土した須恵器についても、考古学上の観察を行い、型式編年の基礎となっているものとの比較検討を容易とするため図をあわせて集成した。これらの作業で、現状での考古地磁気年代推定の成果の確認ができた。従来の地磁気の採集部位が必ずしも一定ではなく、対象となった焼土と一概にいっても、その部位が床面でない場合でも、かつては採集していた可能性が明らかとなった。その場合、一体どの時期の焼土が測定の結果に影響を与えているかが問題となってきた。この問題の解想された。比較的最近のデータである福岡県大野城市牛頸窯の成果を用いて検討を加えた。とくに九州と近畿の考古磁気の比較から、従来は差がないと見られていた両者の地磁気に幾分かの差があった可能性も指摘されるにいたった。
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