研究概要 |
平成5年度に検討された新しい逆問題(分岐図再構成問題)の解法(分岐図再構成法)は、幾つかのカオス的信号のみからコントロールパラメータ(分岐係数)とその関数形が未知である力学系と定性的に等価な係数族を同定するための手法であり、多層パーセプトロンを数理モデルとする非線形予測子と主成分分析を基盤にしている. 平成6年度は,以下の3つの点において提案手法の応用への拡張を試みた. (1)初期の実験では,2自由度差分力学系の2および3係数族に対して係手数族同定可能性を検証したが,実データに対してこれを適用するには観測ノイズの影響を考慮せなばならない.そこで,ノイズの介在したデータに対しても安定に機能するように、非線形予測子の構成における逐次型学習則を一括型学習則へ変更し、ノイズに対してロバストであることを数値実験によって検証した. (2)より一般的な物理現象に適用できるように,微分方程式系をベースにした非線形予測子に拡張した.この結果,味覚センサーなどの動的センサーに対する認識系を幾つかのサンプルから自動的に構成できる可能性が高まった。 (3)上記は全て,多層パーセプトロンをその数理モデルとして検討しており,最急降下法に基づく予測子の構成は非常に多くの計算量を必要とする.そこで,この欠点を回避するためにテーラー関数あるいは動径基底関数をその数理モデルとして分岐図構成法を新たに検討した.
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