[非線形振動場におけるダイナミカルガラス] 反応拡散系を典型とするある種の非線形振動場は、制御変数の適当な領域で、ランダムな初期条件に対して、長い過渡の後に、空間的に不規則で時間的に周期的な状態に落ち込むことを見いだし、ダイナミカルガラスとよんだ。最終的なパターンは初期条件に敏感で、非常に多くのアトラクターが存在する。さらに、他のいくつかの異なる系でも同様な運動が観測され、ダイナミカルガラスは散逸力学系に普遍的な運動であることを確認し、その発生条件を明らかにした。また、さまざまな初期条件に対してガラス状態への落ち込み時間分布を調べ、多重フラクタル性が成立していることを見いだした。 [チューリングパターンの形成過程] チューリングによって予言されていた、化学反応系の空間パターンが、最近、ゲルをもちいた方法により実験的に観測されるようになった。本研究では、ブッラセルモデルを用いて、実験で観測されているロール構造や三角格子構造を数値実験で再現した。ロールと三角格子の共存により、チューリングパターンの形成過程は非常に遅いことを見いだし、形成過程の新しいスケーリング則を見いだした。 さらに、リューリング不安定点近傍で、パターンの形成過程を規定する実質的な運動方程式を導き、その解は空間的に局在したパターン(スポット)を持ち得ることを見いだした。実験的に見いだされることが予想される。
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