研究分担者 |
大濱 靖匡 九州大学, 工学部, 助手 (20243892)
川根 祐二 九州大学, 工学部, 助手 (30214662)
村尾 健次 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00040973)
西 哲生 九州大学, 工学部, 教授 (40037908)
古賀 利郎 九州大学, 工学部, 教授 (00037706)
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研究概要 |
本研究代表者は,先にPF作用素に基づく間接的時系列解析法を与えた。具体的には,有限次元の近似的PF作用素は,カオスにおける種々の統計量の求解問題において,有限次元行列の線形固有値問題への帰着を可能にすること、および本解析法が力学系の混合性や不変密度の有界性の成否にかかわらず種々のカオスの諸統計量の高精度の近似値を与えることから,種々の工学上の設計問題に有効であることを明らかにしていた。 一次元離散力学系は,スイッチトキャパシタ回路を基本とした回路で容易に実現できる。本科研費による本年度の研究成果は以下の通りである。まず,1/f^<delta>雑音発声器として,間欠性カオスを生成する力学系の模擬回路が有効であることを指摘した。その根拠は写像の非線形関数x^zが1/f^<delta>型パワスペクトルの指数deltaの決定的要因であることにある。x^zは同時に不変密度の非有界性を意味する。次に,x^zを正確に模擬するために,べき乗特性のIC演算増幅器を含むスイッチトキャパシタ回路を基本とした電子回路で一次元離散力学系を実現した。べき乗集積回路は,対数回路と指数関数回路とから構成されているので,べき乗だけでなく,対数,指数,乗算,除算などの演算が可能な上,各演算のパラメータ値が外部抵抗回路で自由に設定できる特長を持つ。従って,べき乗集積回路を用いたスイッチトキャパシタ回路により,多様な非線形離散力学系が簡単に且つ精度良く実現できることが期待される。具体的には,まず,区分的線形写像で規定される一次元離散力学系の簡単なSC回路実現法を与え,次に,べき乗集積回路を用いて,1/f^<delta>パワスペクトル特性を有するProcassia-Schuster型離散力学のSC回路実現法を示し,更に,これらのSC回路で生成されるカオスの諸統計量の計測値が,Perron-Frobenius作用素のガレルキン近似に基づく間接的時系列解析法による計算結果と良く一致していることを示した。
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