牛血管内皮細胞及び血管平滑筋細胞培養系を用い、細胞数の増加を指標とする増殖アッセイ系を確立した。またボイデンチャンバーを用いた遊走活性測定系も同時に確立しスクリーニングシステムとした。牛卵胞液を出発原料として、新しい血管平滑筋細胞増殖因子を、種々のクロマトグラフィーを用いて精製した。ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーによりHBGF系成長因子を分離し、残りをイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相系クロマトグラフィー等により分画した。既知の成長因子のラジオリセプターアッセイを併用することにより、上記クロマトグラフィーでの既知物質の分画を確認しながら新しい血管平滑筋細胞増殖因子の精製を進めた。逆相HPLCにより最終的にこの新しい血管平滑筋細胞増殖因子を単一標品にまで精製した。最終精製標品を用い、Lysyl-endopeptidase digestionの後、逆相HPLCによりペプチドフラグメントを単離し、その部分アミノ酸配列を決定した。それらの部分アミノ酸配列を基にオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、それらをプローブとして、牛卵巣cDNA libraryをスクリーニングして新しい血管平滑筋細胞増殖因子のcDNAクローニングに成功した。
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