研究概要 |
動脈硬化症に深く関わる血管平滑筋細胞の増殖を調節する新しい因子を検索した。培養血管平滑筋細胞の増殖を促進するポリペプチドを、ウシ卵胞液を材料として各種クロマトグラフィーを繰り返して精製した。精製したポリペプチドの部分アミノ酸配列を決定し、その情報を基にCDNAクローニングを行いその構造を明らかにした。ウシ卵胞液中には血管平滑筋細胞の増殖を強く促進する分画がいくつか存在している。その活性の一部はHeparin SepharoseでNacl濃度1.0M付近に溶出され、その部分アミノ酸配列を決定したところ、ヘパリン結合性増殖因子MidkineおよびPleiotrophinであることが明かとなった。さらにもう一つの活性は、DEAE SepharoseでNacl濃度0.3M,Heparin SepharoseでNacl濃度0.65M付近に溶出された。逆相HPLCで最終的に単一標品にまで精製され、SDS-PAGEで分子量8万の一本鎖ポリペプチドであることが明かとなった。精製標品の部分アミノ酸配列を決定し、その情報をもとにCDNAクローニングを行い、その塩基配列を決定した。その塩基配列をDNAバンクで調べたところ、胎児の分化に関わっているとされるF-Spondinであることが明かとなった。
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