以下のように、各エイジェントのリンケージを定義し、要素効率配分指向的国民経済と生産性上昇志向的国民経済という二つの分類をした。そして、これをベースに長期的視点から国民経済の競争力構造を分析した。つまり、政府が市場の失敗を排除し、自由競争を指向する国民経済は、将来の需要に対応した国民経済の産業構造へ移行する能力に欠けること、それに対して、成長を求めて止まない民間企業間の競争と調整、民間企業戦略と政府の政策との対立・調整のなかで「最適な」動態的競争が存在する国民経済は、長期的に生産力を向上させ、競争力を確保することができるということである。ここで、強調されるのは、政府の政策を極度に重視するのではなく、政策の政策と民間企業の競争状態による動態的な調整過程である。
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